
四季折々の自然が楽しめる下山村に、あまご料理と総ヒノキ風呂で人気上昇中の料理旅館「狐塚」がある。
村東部、羽左の窪渓谷にたたずむ「狐塚」の創業は昭和四四年。当初バーベキュー場だった狐塚が、料理旅館となったのは一四年前だ。三年前に、総ヒノキ造りの風呂場を作った。露天風呂もあり、好評を博している。
経営者の荻野勝朗さんは「温泉は賭だった」と振り返る。旅館の経営状況をふまえれば、投資額が大きすぎたからだ。
「温泉が当たり前の時代。温泉があることを期待して来られるお客さんに、温泉ではないと答えるのがつらかった」という思いから、ラジウム鉱泉(冷泉)を利用し、風呂場を新築した。
露天風呂の周りには、ツツジ、カエデ、ショウジョウバカマなどの植物が植えられており、四季折々の景色が楽しめる。
露天風呂が出来てから、中高年だけでなく若者の姿が目立つようになった。うれしい誤算だ。長引く不況で客足が遠のく旅館業界の中で、健闘目立つ旅館といえる。
狐塚の人気は温泉だけではない。あまご料理も評判がよい。人気の「あまご釜飯」は、四〇分ほど素焼きしたあまご一匹を使っている。あまごの雑炊や刺身も人気メニューだ。
五平餅は自家製の味噌をつけて、丹念に焼いて風味を出す。三〇〇円という手頃な値段も手伝って、五平餅目当ての観光客も多い。
春は近くの山で採れた山菜、夏は鮎、秋はキノコ、冬はイノシシやキジ鍋料理と、季節の味覚が楽しめる。
料理のおいしさの秘訣は湧き水にあるという。すべての料理に湧き水を使い、旨みを出している。
狐塚の特徴は、常連客が多いことだ。四季ごとに足を運ぶ者もいるという。パンフレットを持ち帰り、宣伝する常連客の存在もあるほどだ。
こぢんまりとした旅館ならではの雰囲気を大切にしたいという荻野さんは「お客さん自身が、お客さんを紹介して下さる事も多い。信頼されていると思うので、喜んでもらえるように努力している」と、旅館経営の大切な点を話した。
入浴料は大人八〇〇円。宿泊料金は二食付き一万円から。客室は八室。自慢のあまご料理は、日帰り客にも人気がある。日・祝日は混雑することも多く、予約が必要だ。
「狐塚」(tel0564・86・2234)へは国道三〇一号を東進し、下山村黒坂で左折。国道四七三号沿い。豊田市街地から車で約四〇分。(藤原久道)