981023-2 「無農薬で野菜づくりに挑戦─下山村芦原子の児山弥香さん─」「ドイツ・イタリアで新農法勉強」

 名古屋市中村区出身で農業には素人だった児山弥香さん(30)が、東加茂郡下山村和合で農薬や化学肥料を使わない野菜づくりに挑戦し始め、三年が経つ。
 

 県営農地開発事業下山地区内に一・八ヘクタールの土地を借り、ナス、キュウリ、トマト、玉ねぎ、白菜、大豆、茶などの様々な農作物を栽培している。
 

 一年目は草刈りや抜木、そしてやせた土地に肥料をまき、土作りに精を出した。農閑期は作業小屋づくりや水周りの整備などで手一杯。作物を本格的に作り始めたの二年目からだ。
 

 二年目はジャガイモや大根などを植えた。病害などもあったが、収穫は出来た。大根は甘くておいしかった、という評判を得た。
 

 三年目の今年は、一〇種類以上の作物を栽培している。岡崎市内の有機農産物販売所「ヘルシーメイト」に、不定期ながら出荷し始めた。村内にも児山さんのウワサを聞いて、野菜の購入に来る人達も出てきた。
 

 「始めた当初は不安だったが、ようやく先が見え始めた」と児山さんは言う。
 

 児山さんは、実家が表具屋を営んでいたため高校卒業後、京都で修行生活を始めたが、将来に不安を抱き修行を断念。グリム童話やドイツ人小説家の書物が好きで、以前から憧れていたドイツへの語学留学を試みた。
 

 ドイツ留学中、無農薬での野菜づくりを推奨している「バイオダイナミック農法」に出会い、人生の転機を迎えた。
 

 ドイツやオーストリアで広く実践されているバイオダイナミック農法は、天体の運行と植物の生育リズムには関係があり、それに基づいて農作業を行うというものだ。
 

 ドイツ留学後、熊本県阿蘇で実践されているバイオダイナミック農場で一年間修行した後、イタリアへ研修に向かった。帰国後はタクシー運転手などをしながら、お金を貯め、三年前に下山村芦原子に移り住んだ。
 

 イタリアでの生活から日本人がすごく豊かな生活をしている事に気づいた。収入は不安定だが贅沢をしなければ何とかなる。ダメでも他の仕事を、と今の暮らしを振り返る。
 

 贅沢な暮らしが出来ても、仕事に追われ、ストレスがたまりがちの現代人の生活に疑問を抱く。
 

 児山さんは「農業に従事できて良かった。農業をやっていると、精神と肉体のバランスが上手くコントロールされているように思える。単純作業に見られがちな農作業を、自然界のリズムに沿って行い、いろいろな事を考える。心地よい事です」と語る。
 

 野菜づくりだけでなく、どのような暮らしが良いのか、模索する日々は続く。(藤原久道)

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