
豊田市議会の一般質問戦で、六月十五日、保見団地住民である自民党無派閥一期の松井正衛(せいえい)議員が、住宅団地経営の正常化を訴えた。当社の野村記者が傍聴取材して書いた記録を、私はいま繰り返して読んでいる。
その取材記録の要約は、本号の一般質問記事の最初に掲載した。松井議員の質問や関係部長の答弁の、ほんの一部だ。これで双方の発言の趣旨は、大体は伝わっていると思う。
右の記録を読んでいて、この巨大な住宅団地に対して行われて来たことは、果たして「政治」だとか「行政」だとか言える水準のものだろうか、と思った。
今回も松井議員が語っているが、保見団地には、中高層住宅がぜんぶで六十七棟ある。そのうちの住宅公団棟では、2DKの一室に外国人独身男性四〜五人が共同生活している。公営住宅を人材派遣会社の「寮」として利用することを、公団が認めているのだ。
保見団地問題の核心は、一般家庭族用につくられ運用されて来た巨大住宅団地のなかに、外国人独身男性の「寮」が突然できてしまったことである。保見団地全体の六十七棟のうちには、日系外国人が五十%以上を占める棟が十四棟もある。出入りが激しく、居住実態もつかめない。日本人が出て行き、外国人が入って来る状況が続き、公団賃貸住宅部分の自治区加入率は、四十%に低下した。
右の自治区加入率だけを考えてみても、保見団地は由々しき事態だ。「言語や生活習慣の違いから発生するゴミ問題、交通問題が深刻であり、暴走、窃盗、傷害等も多発している。日本人と外国人の間に深い溝ができてしまった」と、松井議員は現状を報告した。
松井議員が特に強調していたように、問題行為を起こすのは、ごく一部の若者らしい。保見団地の四つの自治区は、日本人と外国人の間に出来た溝を埋めるために「共生をめざした活動」を続けて来た。その一つの「夏祭り」の模様が、昨年NHKドキュメントで放映され、感動を呼んだ。
そうした自治区側の善意の努力には、限界があると思う。公団が住宅の「寮利用」を止めない限り、住民側の善意は実り少ないと思う。非常に残念だったのは、市側の答弁がその核心には何もふれず、ピント外れの「国際交流」を説いていたことだ。
問題点は、公団が一戸・一家族の入居原則をくずしたことだ。公営住宅の一部に「外国人男性の独身寮」が出来て、その居住実態もつかめないとなれば、問題が起きて当然である。政治と行政がおかしいのだ。
当地の政界と官界が建設省系の住宅都市整備公団に、公営住宅の「寮利用」を即刻中止するように要求しなければ、保見団地問題は解決しない。公団の行為は「自治の破壊行為」として糾弾されるべきだ。(新見幾男)